このフレーズは海外ドラマ『フルハウス(Full House)』で、ジョーイが言ったセリフです。
Boy, if he was any good, he would have seen that coming.
この文で英語学習者が最も疑問に感じやすいのが、
なぜ some good ではなく any good が使われているのか
という点です。ここでは any と some の違いに焦点を当てて、文全体のニュアンスを詳しく解説します。
直訳と意訳
直訳
「いやあ、もし彼が少しでも良かったなら、あれが来るのを見抜いていただろう」
意訳(自然な日本語)
「本当に少しでも有能なら、ああなるのは分かってたはずだ」
「その程度も予測できないなら、大したことないよ」
このセリフには、相手の能力を否定する皮肉が強く含まれています。
文頭の Boy の役割
ここでの Boy は「少年」という意味ではありません。
驚き・呆れ・強調を表す間投詞です。
- Boy, that was close.
(いやあ、危なかった) - Boy, was I wrong.
(いやあ、完全に間違ってた)
感情を込めて、後に続く評価を強調しています。
仮定法過去完了の構造
この文は仮定法過去完了です。
If + 主語 + was / were…, 主語 + would have + 過去分詞
この形は、
- 実際には起きなかった過去
- 現実とは逆の仮定
を表します。
つまりこの文は、
- 彼は有能ではなかった
- だから予測できなかった
という事実を前提にしています。
なぜ some ではなく any なのか
some と any の基本的な違い
まず基本的な使い分けです。
some
- 肯定的
- 話し手が「ある程度ある」と思っている
- 期待・前向きなニュアンス
any
- 否定・疑問・条件で使われやすい
- 「ゼロに限りなく近い最小限」
- 厳しい評価・皮肉を含めやすい
if he was some good にするとどうなるか
仮にこう言った場合を考えてみます。
If he was some good, he would have seen that coming.
この文は 不自然 です。
理由は、
- some は「ある程度の量・質がある」
- 「多少は良い」という肯定的評価
を含むためです。
つまり some good だと、
「まあまあ有能だったら」
という 甘い評価 になってしまいます。
この文で言いたいのは、
「まあまあ」ではなく、
「最低限ですら達していない」
という強い否定です。
any good が持つ本当の意味
any good
=「少しでもマシなら」
=「最低ラインの能力すらあれば」
any は評価のハードルを極限まで下げる役割をします。
その上で、
それすら満たしていない
という結論を暗に示します。
これが皮肉になる理由です。
比較すると分かりやすい例
- If he was any good, he’d know that.
(少しでも有能なら、それくらい分かる) - If she had any sense, she wouldn’t say that.
(少しでも常識があれば、そんなこと言わない) - If they were any smarter, they’d leave now.
(少しでも賢ければ、今すぐ出る)
どれも共通しているのは、
- 相手を低く評価
- 最低条件すら満たしていない
というニュアンスです。
any は「攻撃力のある単語」
any は中立に見えて、
評価の文脈では非常に辛口になります。
- any good
- any better
- any sense
これらはすべて、
「これっぽっちでも〜なら」という意味になり、
批判・皮肉・呆れを自然に表現できます。
seen that coming の補足
see something coming
=「(悪い結果や展開を)予測する」
- I didn’t see that coming.
(そんなことになるとは思わなかった) - She saw the problem coming.
(問題が起きるのを予測していた)
この文では、
「有能なら予測できたはずだ」
という評価を強めています。
文全体の意味を整理すると
Boy, if he was any good, he would have seen that coming.
- Boy:呆れ・強調
- if 仮定法:現実とは逆
- any:最低限すら満たしていない
- good:能力評価
- seen that coming:予測力
つまり、
「本当に少しでも有能なら、ああなるのは分かってたはずだよ」
という、かなり辛口な一言です。
覚えておくべきポイント
- some は肯定的・前向き
- any は最小限・否定寄り
- 評価文での any は皮肉になる
- some にすると意味が弱くなる
- any good は「最低限すらない」という批判
このセリフは、
any が持つ本当の攻撃力を理解するのに最適な例です。